二人目不妊のつらさは、贅沢な悩みではありません

夕方の公園のベンチ

公園で、二人きょうだいが並んで走っているのを見かける。上の子が下の子の名前を呼んでいる。目で追ってしまって、追っていることに気づいて、目をそらす。

法事の席で「二人目は?」と聞かれる。笑って「そのうちですね」と返す。返しながら、この受け答えは何回目だろうと考えている。

そして、いちばん答えられないのは、上の子から「赤ちゃんほしい」と言われたときです。

「二人目不妊 つらい」「二人目不妊 上の子 罪悪感」。そんな言葉で検索して、このページにたどり着いた方もいらっしゃるかもしれません。

同じように感じている方は、少なくありません。

目次

その気持ちを、言葉にすると

いちばんつらいのは、悩みを悩みとして扱ってもらえないことかもしれません。

つらいのに、つらいと言えない。言おうとすると、先に自分の中から声がします。「一人いるのに、何を言っているんだろう」。

周りから言われる前に、もう自分で言っています。だから口を閉じる。閉じたまま、また一ヶ月が過ぎる。

実際に言われることもあります。「一人いるじゃない」「二人目不妊なら、まだいい方だよ」。悪気はないのだと思います。それでも、その一言で、話しかけていた口が閉じます。

こうして、悩みを持っていることそのものに、許可がいる状態ができあがっていきます。

贅沢な悩みだと思っていませんか。

もしそう思っていらっしゃるとしたら、この記事でお伝えしたいのは、その逆のことです。

そして、この状態にはもうひとつ重さがあります。罪悪感が、二つ同時にあるということです。

ひとつは、子どもがいるのに悩んでいる自分への罪悪感。もうひとつは、上の子に向けての罪悪感です。

通院の朝、上の子を預ける。帰ってきてから、思うように相手ができない。結果が出なかった日は、笑いかけようとしても顔が動かない。この子は、今の私をどう感じているんだろう。

上の子がいることは、支えでもあると思います。同時に、その子がいるからこそ言えなくなっていることも、たしかにあります。どちらも本当で、どちらかにまとめる必要はありません。

玄関に並んだ親子の靴

同じように感じている人は、少なくありません

このテーマは、検索しても心の話が出てこないという特徴があります。

Googleで「二人目不妊」と入力したときに表示される関連キーワードを、2026年8月に確認しました。並ぶのは「原因」「なぜ」といった、理由を尋ねる言葉が中心です。(出典:Googleサジェスト/2026年8月確認)

つまり、この言葉で検索しても、出てくるのは説明であって、気持ちの話ではない。 調べても自分の状態にあてはまる言葉が見つからないので、「これは悩みとして扱われていないのだ」と受け取ってしまいやすい構造があります。

そのなかに「知恵袋」が混じっています。説明では足りず、匿名で誰かに聞ける場所を探している方がいるということだと思います。

相談できる場所を探して書き込んだ先で、順番をつけられてしまうことも起こります。悩みを持ち込んだ場所で「まだいい方」と言われれば、そこでも口を閉じることになります。話す場所が少ないのではなく、話しても安全な場所が少ないのだと思います。

念のために書いておきたいのですが、つらさに順番はありません。 一人目でも二人目でも、比べるものではありません。この記事は、どちらが大変かという話をするためのものではありません。

なぜ、そう感じるのか

悩みにくさは、あなたの気の持ちようではなく、この状況が置かれている形から来ているのかもしれません。

周りに認められない悲しみは、行き場を失いやすい

心理・カウンセリングの領域には、公認されない悲嘆という考え方があります。周囲から悲しみとして認めてもらいにくい悲しみのことです。

悲しみの大きさは、外から見た出来事の大きさで決まるわけではありません。その人にとって、それが何だったのかで決まります。

けれど周りは、外から見える部分だけで判断します。子どもがいるという一点が見えていると、そこで「悲しむほどではない」と処理されてしまう。悲しんでいる本人だけが、その外に取り残されます。

こうした悲しみは、悲しむ場面そのものが用意されないため、行き場を失いやすくなります。悲しみが小さいのではなく、置き場所がないだけです。

罪悪感が二つあると、片方を消しても終わらない

先ほど書いた二つの罪悪感は、向いている相手が違います。

誰に対しての気持ちか
悩んでいることへの罪悪感子どもを望むすべての人/世の中の目
上の子への罪悪感目の前にいる、この子

だから「一人いるじゃない」という言葉では終わりません。仮にその言葉で一つ目が少し軽くなったとしても、二つ目はそのまま残るからです。むしろ、一つ目を打ち消そうとして「感謝しなきゃ」と自分に言い聞かせるほど、二つ目の方が重くなることもあります。

同じ「罪悪感」という名前がついているだけで、中身は別のものです。一度に片づけようとすると、どちらも扱えなくなります。

「べき」で自分を縛ると、逃げ場がなくなる

考え方の癖のひとつに、べき思考と呼ばれるものがあります。融通のきかないルールで自分を測ってしまう考え方で、誰にでもあるものです。悪いものではありません。

ただ、この癖が自分に向くと、そのまま自責になります。

  • 一人いるのだから、満足するべきだ
  • 二人目を望むなら、上の子には完璧でいるべきだ
  • 落ち込んでいる姿を、子どもに見せるべきではない

どれも、達成できたかどうかを自分で採点できてしまうのが特徴です。そして採点はいつも不合格になります。ルールの側が厳しすぎるからです。

ひとつだけ、はっきりさせておきたいことがあります。考え方の癖の話は、現実の困りごとを我慢する話ではありません。 「二人目は?」と繰り返し聞かれること、相談した先で順番をつけられること。これらは、あなたの受け取り方の問題ではありません。実際に起きている出来事です。

我慢してやり過ごす以外の扱い方を探したいときは、妊活・不妊の気持ちを聞くカウンセリングのような場所もあります。

描きかけの絵とクレヨン

抱えたまま過ごすための考え方

悩みを解消する方法ではありません。悩んだまま、少しだけ息がしやすくなるための考え方です。合う・合わないは人によって違うので、気になったものだけで大丈夫です。

「悩んでいいかどうか」を、自分で審査しない

いま起きていることを分けてみると、こうなります。

内容
実際にあることつらい、しんどい、疲れている
その上でしていること「このつらさに資格はあるか」と自分で審査している

審査の方をやめると、残るのは事実だけになります。つらいから、つらい。それ以上の理由はいりません。

これは「もっと大変な人がいる」という考えを打ち消す作業ではありません。打ち消さなくていいのだと思います。世の中に大変な人がいることと、あなたが今しんどいことは、両立します。

上の子との時間を、量で採点しない

通院や治療のあと、いつものように関われない日があると思います。その日のことを、後から何度も思い返してしまうこともあると思います。

ここでお伝えできるのは、親が完璧である必要はないということだけです。子育てのやり方について、こうすべきだという話をするつもりはありません。

ひとつの考え方として、「今日、隣にいた」で区切るというやり方があります。長さでも、内容でもなく、いたかどうか。しんどい日ほど採点が厳しくなるので、採点表の方を小さくしておく、という程度の意味です。

うまくできなかった日があっても、それだけで何かが決まるわけではありません。

言わなくていい相手と、言っていい場所を分けておく

すべての人に分かってもらう必要はありません。むしろ、分かってもらうことを最初から目指さない相手を決めておくと、消耗が減ることがあります。

「二人目は?」への返し方を、ひとつだけ用意しておく方法もあります。内容は何でもかまいません。その場を終わらせるための言葉であって、本心を伝えるための言葉ではないからです。本心の方は、別の場所に置いておく。

そのうえで、言っていい場所を一つだけ持っておく。書き出す、話す、体を動かす。効くものは人によって違います。すすめられた方法が効かなかったとしても、あなたに問題があるわけではありません。

話す相手が見つからないときは、妊活・不妊の気持ちを聞くカウンセリングのような場所もあります。

つらさが続いているときは

眠れない日が続いている。食べられない。涙が止まらない。日々の生活が回らなくなっている。そんな状態が続いているときは、我慢しないでいただきたいと思います。

通っている医療機関やかかりつけの婦人科は、体のことだけを聞く相手ではありません。お住まいの自治体にも、妊娠や不妊についての相談窓口が置かれています。「こんなことで相談していいのかな」と思う内容で大丈夫です。

夕暮れのキッチンの窓辺

一人で抱えなくていい

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

このテーマがしんどいのは、悩みそのものだけではないのだと思います。悩んでいることを、まず認めてもらう必要がある。 そこから始めないといけないのが、いちばん疲れるところなのではないでしょうか。

友達には言えない。同じ妊活中の人にも言いにくい。家族には「一人いるじゃない」と返される。上の子の前では、平気な顔をしている。

誰にも本音を話せない。

そのまま一人で抱え続けるのは、しんどいことだと思います。

話す相手は、身近な人でなくてもかまいません。むしろ、生活が地続きでない相手だからこそ、言えることがあります。説明も、前置きも、いりません。 悩んでいい理由から話し始めなくて大丈夫です。

Perchは、答えの出ない時間を、ひとりで抱えないための場所です。看護師資格を持つカウンセラーも在籍しています。オンラインなので、ご自宅から話せます。1回60分、初回は3,000円です。

うまく言葉にできなくても大丈夫です。 まとまらないまま、話したいところまで話していただいて大丈夫です。

妊活・不妊の気持ちを相談する →

友人や身近な方の妊娠報告がつらいという気持ちについては、友達の妊娠を喜べない。それは、心が狭いからではありません にも書きました。


執筆:日本メンタル心理士アカデミー(メンシア)
監修:植田那月(臨床心理士・公認心理師)

看護師資格を持つカウンセラーと、臨床心理士・公認心理師が在籍するカウンセラー養成機関です。産前産後の方が相談できる場として、カウンセリングプラットフォーム「Perch」を運営しています。

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