妊婦健診が4週に1回で不安。次の健診までをどう過ごすか

静かな待合室の窓辺

健診が終わって、次の予約票を受け取る。そこに書かれているのは、4週間先の日付です。

家に帰ってカレンダーを開き、その日に印をつける。それから、今日から何日あるのかを数えてしまう。

エコーの画面を見られたときは、たしかに安心しました。でもその安心は、病院を出た瞬間から少しずつ薄れていきます。今この瞬間、お腹の中がどうなっているのか、確かめる方法がない。 次に確かめられるのは、4週間後です。

「妊婦健診が4週に1回で不安」「健診の間隔が空くのが怖い」。そんな言葉で検索して、このページにたどり着いた方もいらっしゃるかもしれません。

同じように感じている方は、少なくありません。

目次

その気持ちを、言葉にすると

つらいのは「不安があること」ではなく、「確かめられないまま待つしかないこと」かもしれません。

不安があっても、何かできることがあれば、人はある程度耐えられます。調べる、動く、誰かに聞く。手を打てるあいだは、気持ちの持っていき場所があります。

けれど妊娠初期から中期にかけての時期は、待つ以外にできることがありません。

胎動を感じられるようになるまでは、赤ちゃんが元気かどうかを自分で確かめる手段がない。それなのに健診は4週に1回。次のその日まで、ただ時間が過ぎるのを待つしかない。

このとき起きているのは、「不安が強い」というより、「不安の置き場所がない」という状態に近いのかもしれません。

そしてもうひとつ、しんどいことがあります。この気持ちを、言いにくい。

妊婦健診は、多くの場合「エコーで赤ちゃんに会える日」として語られます。楽しみなイベントという前提がある。その中で「怖い」と言うと、空気が変わってしまう気がする。

「考えすぎだよ」「みんなそんなものだよ」と返されて、そこで話すのをやめた経験がある方もいるかもしれません。あるいは、言われる前に自分で「気にしすぎかもしれない」と思って、飲み込んでいるかもしれません。

それに、健診のたびに「順調ですね」と言われる方ばかりではありません。最初の健診で気になるところを指摘されたまま、次の健診まで過ごしている方もいます。そういう時間のなかでは、健診は「赤ちゃんに会える日」ではなく、「確かめに行く日」になります。周りの方がワクワクしながら待っているように見えるほど、その差はこたえます。

心配しすぎな自分が、おかしいのだろうか。

そう思っていらっしゃるとしたら、この記事でお伝えしたいのは、その逆のことです。

カレンダーに印をつけた次の健診日

同じように感じている人は、少なくありません

この悩みは、たくさんの人が、言葉を変えて検索しています。

Googleで「妊婦健診 不安」と入力したときに表示される関連キーワードを、2026年8月に確認しました。上位10件のうち4件が、「4週に1回」「4週間」「一ヶ月に一回」「間隔」と、いずれも健診と健診のあいだの時間についてのものでした。(出典:Googleサジェスト/2026年8月確認)

同じ悩みが、言い方を変えていくつも並んでいる。 これは、同じことで苦しんでいる方が、それぞれの言葉で検索しているということでもあります。

もうひとつ特徴的なのが、関連キーワードに「知恵袋」が入っていることです。調べても答えが見つからず、匿名で誰かに聞ける場所を探している方がいるということだと思います。

あなたが特別に心配性なわけではないのだと思います。ただ、口に出す方が少ないだけです。

もちろん、人数が多いことは、あなたのつらさが軽いという意味ではありません。同じ言葉で検索していても、抱えているものは一人ひとり違います。

不妊治療を経て授かった方や、前の妊娠を最後まで続けられなかった経験のある方にとっては、この4週間の重さがまた違ってくることもあります。つらさに順番はありませんが、同じ「待つ時間」でも、抱えているものが違えば、感じ方も変わります。

なぜ、そう感じるのか

不安の強さは、性格ではなく、置かれている状況の形から来ているのかもしれません。

できることがない不安は、できることがある不安より重い

心理学では、ストレスへの対処のしかたをコーピングと呼びます。大きく分けると、問題そのものに働きかけるやり方と、わき起こる気持ちの方を扱うやり方があります。

問題を直接どうにかできる場面では、前者が力を発揮します。原因を調べて、手を打って、状況を変える。

でも、次の健診までの4週間は違います。問題を解決する手段が、そもそも存在しません。

このとき、いつも使っている対処法が効かなくなります。調べても答えは出ない。動いてもどうにもならない。打つ手がないまま不安だけが残るので、消耗します。

これは、あなたの心が弱いからではありません。使える手段が、状況によって制限されているだけです。

頭に浮かんだ考えが、事実のように感じられる

何か出来事があったときに、とっさに頭に浮かぶ考えのことを自動思考といいます。

自動思考は、事実ではありません。 その瞬間に浮かんだ、ひとつの解釈です。けれど本人の中では、事実と同じ強さで感じられます。

この時期に起きているのは、たとえばこういうことです。

内容
事実前回の健診では心拍が確認できた。次の健診は4週間後
浮かんだ考えもう動いていないかもしれない
気持ち怖い、落ち着かない

真ん中の行は、確かめられていない考えです。でも、この3つが混ざったまま日々を過ごしていると、考えの方が事実として体に効いてきます。 心臓が速くなる、眠れない、何をしていても頭から離れない。

そして検索します。検索すると、不安を裏づける材料の方が目に入ります。すると考えがさらに強くなる。調べるほど怖くなるのに、調べずにはいられない。

夜中にスマートフォンを開いて、検索してしまう。そして、余計に怖くなる。それでも、やめられない。

この循環について、「検索するのをやめましょう」とは書きません。やめられないから苦しいのであって、やめられる方はもう困っていないからです。

やめられないまま話せる相手として、妊娠中の気持ちを聞くカウンセリングのような場所もあります。

調べることがやめられない状態そのものについては、妊娠中の検索がやめられないのは、意志が弱いからではありません に詳しく書きました。

気持ちを書き出すためのノートとペン

抱えたまま過ごすための考え方

不安を消す方法ではありません。抱えたまま、少しだけ楽に過ごすための考え方です。合う・合わないは人によって違うので、気になったものだけで大丈夫です。

事実と、考えと、気持ちを分けて書いてみる

紙でもスマートフォンのメモでもかまいません。いま頭の中にあるものを、事実/浮かんだ考え/気持ちの3つに分けて書き出してみます。

事実は「前回の健診では心拍が確認できた」「次の健診は◯月◯日」。考えは「もうダメになっているかもしれない」「私のせいかもしれない」。気持ちは「怖い」「落ち着かない」。

大事なのは、浮かんだ考えを否定しないことです。「そんなことない」と打ち消す作業ではありません。「これは、いま私の頭に浮かんでいる考えだ」と、置き場所を作るだけです。正しい考えに直す必要はありません。分けて眺めるだけで、混ざっていたときより少し扱いやすくなることがあります。しんどくなったら、途中でやめて大丈夫です。

書き出すこと自体は、特別な方法ではありません。頭の中だけで回していたものを、いったん外に出しておく作業です。

不安に、名前をつけてみる

心理カウンセリングには、外在化という考え方があります。悩みを「自分の中身」ではなく、自分の外にあるものとして扱ってみる方法です。

やり方はシンプルで、不安に名前をつけます。「心配性のマメさん」でも「先回りするクセ」でも、なんでもかまいません。そして、不安が湧いてきたときに「また心配性のマメさんが騒いでいるな」と考えてみます。

ふざけているようですが、「私がダメだから不安になる」ではなく「不安という反応が起きている」というくらいの距離が、少しだけ取れることがあります。

ただ、これは誰にでも合う方法ではありません。気持ちがとても重いときや、過去のつらい出来事まで一緒に出てきそうなときは、無理に試さないでください。苦しくなったら、そこでやめて大丈夫です。

4週間ではなく、今日一日で区切る

問題を解決するやり方が使えないとき、代わりに使えるのが、気持ちの方を扱うやり方です。誰かに話す。書き出す。体を動かす。何もしない日をつくる。

ここで大事なのは、人によって効くものが違うということです。散歩が効く方もいれば、それが苦痛な方もいます。すすめられた方法が効かなかったとしても、あなたに問題があるわけではありません。 ひとつの正解を見つけるより、合うものを少しずつ増やしておく方が、役に立つ場面があります。

「4週間をどう過ごすか」ではなく、「今日一日をどう過ごすか」に区切ってみるのも、ひとつの方法です。28日は長いですが、今日一日なら、少し見通しが立つことがあります。

話す相手が見つからないときは、妊娠中の気持ちを聞くカウンセリングのような場所もあります。

つらさが続いているときは

眠れない日が続いている。食べられない。涙が止まらない。日々の生活が回らなくなっている。そんな状態が続いているときは、我慢しないでいただきたいと思います。

かかりつけの産科や助産師さんは、体のことだけを聞く相手ではありません。お住まいの自治体にも、妊娠中の相談窓口があります。「こんなことで相談していいのかな」と思う内容で大丈夫です。 妊娠中の気持ちの揺れは、健診のときに話してよいことのひとつです。

夕暮れの窓辺

一人で抱えなくていい

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

この時期の不安が重くなる理由のひとつは、不安そのものより、それを話せる相手が見つからないことにあるのかもしれません。

親に言えば心配させてしまう。パートナーに言っても、同じ温度では受け取ってもらえない。友達には、おめでたい話として届いてしまう。

誰に相談すればいいか分からない。

そのまま4週間を一人で抱えるのは、しんどいことだと思います。

話す相手は、身近な人でなくてもかまいません。むしろ、生活が地続きでない相手だからこそ、言えることがあります。

Perchは、新しい命を迎える時期の、ゆれる気持ちを話せる場所です。看護師資格を持つカウンセラーも在籍しています。オンラインなので、ご自宅から話せます。1回60分、初回は3,000円です。

うまく言葉にできなくても大丈夫です。 まとまらないまま、話したいところまで話していただいて大丈夫です。

妊娠中の気持ちを相談する →


執筆:日本メンタル心理士アカデミー(メンシア)
監修:植田那月(臨床心理士・公認心理師)

看護師資格を持つカウンセラーと、臨床心理士・公認心理師が在籍するカウンセラー養成機関です。産前産後の方が相談できる場として、カウンセリングプラットフォーム「Perch」を運営しています。

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